触れることがもたらす効果

泣いている赤ちゃんにおしゃぶりをあげたり、ものを握らせたりすると泣き止んだという経験はないでしょうか?精神的にまだ発展途上の子ども達は、心地よいと笑い、不快に感じると泣くというように快・不快という情動を素直に表現する傾向にあります。泣いていた赤ちゃんが泣き止むということは快、つまり心地よいと感じた証拠です。この快・不快という情動に対しておしゃぶりを咥えたりものを握るという行為、一種の触れるという行為がどのような影響を与えたのか解き明かしていきます。

皮膚は第2の脳

生理学から見ると皮膚と脳の間には共通点が見つかっています。脳は発生過程で皮膚と同じ外胚葉から形成されており、最近の研究では脳にある物質と同じものが皮膚からも見つかっています。皮膚の感覚は脳の体性感覚野で処理されますが、体性感覚野が脳に占める割合は大きく、皮膚感覚が脳に与える影響は非常に大きいといえます。さらに皮膚は微細な刺激については脳での判断を必要とせず、、皮膚が独自の情報処理を行っている可能性についても明らかになってきています。これらのことを踏まえると皮膚は第2の脳といっても過言ではないでしょう。

C触覚繊維

自閉症スペクトラム症候群や摂食障害の患者はスキンシップをとっても快の情動が起きづらい傾向があります。これはなぜでしょうか?

その原因の一つとして胎児の時に羊水による皮膚のC触覚繊維への刺激が不足していたことが考えられます。このC触覚繊維とは毛根の周りを取り巻くように存在する細い線維で、触覚によって快や不快、安心感や嫌悪感といった情動を喚起させる役割を持っています。脳では自己の意識や感情と係る島皮質や前帯状皮質、さらには自律神経の中枢である視床下部にも届いているため、自律神経のバランスを整え、自己意識を高め、さらには共感という他者の情動を知覚する機能まで担っています。

このC触覚線維を刺激するために、マッサージがとても有効な手段となります。C触覚線維を興奮させるためには、柔らかいもので触れること、また触れる速さは秒速3~10cmであることが条件です。これより速くても遅くても、C触覚線維の作用を最大化することはできません。

まとめ

皮膚は脳と密接につながっており、触れるということはそれだけで快感を生み出し、自律神経のバランスも整えます。マッサージはC触覚線維を刺激し、リラックス効果だけではない、様々な効果を発揮します。皆さんも一度マッサージで心身共に整えてみてはいかがでしょうか。

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