2007年から超高齢社会を迎えた日本では、何歳まで生きるかの寿命だけでなく、何歳まで健康に生きるかという健康寿命も注目されるようになりました。そんな健康寿命を伸ばす上で気を付けておきたいのは認知症です。認知症は当人に限らずその家族のQOL(生活の質)も落としてしまう可能性があります。どうすれば将来この認知症にならずに済むのでしょうか。
認知症の種類
認知症は原因によって種類が分かれています。最も数が多いのは脳の神経細胞が破壊されて脳が委縮していくアルツハイマー型です。それに続く脳血管型の認知症を含めると認知症の原因の約9割を占めます。これら脳の変性が原因となって引き起こされる認知症を「一次性認知症」と言います。もう一つの種類はHIVや頭部外傷など他の疾患や外傷などが原因となって引き起こされる認知症でこれを「二次性認知症」と言います。今回ご紹介する予防法が効果を発揮するのは「一次性認知症」特にアルツハイマー型認知症に対してです。
WHOのガイドライン
WHOは認知症リスク低減のためのガイドラインとして12項目を発表しています。
・身体活動による介入・禁煙による介入・栄養的介入・アルコール使用障害への介入・認知的介入・社会活動
・体重管理・高血圧の管理・糖尿病の管理・脂質異常症の管理・うつ病への対応・難聴の管理
これらの項目のうち今回は運動にかかわるものをご紹介します。65歳以上に向けた「WHOの健康のための身体活動に関する国際勧告」によると、認知症を予防するために推奨される身体活動として、週当たり150分の中強度有酸素運動、有酸素運動は少なくとも10分以上続けること、バランス能力を向上させ転倒を防ぐための身体活動を週3日以上すること、週2回以上主要な筋肉群を使う筋力トレーニングをすること、これらの身体活動が実施できない場合は、身体能力や健康状態の許容範囲で可能な限り活動的でいることが挙げられています。
また、認知機能の向上には筋力トレーニングよりも有酸素運動の方が有効であるという研究結果もあります。何事も継続が大切です。自分に合ったスタイルで生活の中に運動を取り入れて、早い内から認知症予防に努めましょう。