固有感覚とは

人間の体には、全身に様々な感覚を感知するセンサーが存在します。視覚野味覚などの五感はその代表的な例であり、五感以外にも多種多様な感覚を受容しているセンサーがあります。今回はその中でも、固有感覚と呼ばれる感覚についてお話していきたいと思います。

固有感覚とは

固有感覚とは自身の関節や筋肉などの動き、位置、力などに関する感覚のことです。関節はルフィニ小体などの感覚受容器、筋肉は筋紡錘でこれを感知しています。

ではこの固有感覚はどのような役割を果たしているのでしょうか。固有感覚が鈍いと、関節が今どのくらい開いているのか、筋肉が今どのくらい伸びているのかといった認識ができないので、運動神経が悪くなります。トレーニングにおいてはフォームが崩れて、狙った筋肉に対して負荷をかけることができず、むしろ別の所に負荷がかかりすぎてケガをしてしまう原因にもなります。トレーニングや運動学習を効率的に進めるためには固有感覚へのアプローチは大切と言えるでしょう。

固有感覚を鍛える

固有感覚に関わっているルフィニ小体や筋紡錘などの感覚受容器を発達させるためには、多様な刺激を与えることが必要です。日頃立つ、歩くなどの運動をすることでこの感覚受容器の機能は養われていきます。しかしそれはあくまで無意識での運動です。これを一度意識的に行うようにしてみましょう。例えば歩くという動作の場合、各関節の動きを意識すると、一方の股関節を屈曲させて前に出し、もう一方の股関節を伸展させて地面を蹴る。地面を蹴るときは足関節を底屈させて、踏み出す方の足の足関節は背屈させてつま先を上げる…

さて、スムーズに歩けましたか?ロボットのような動きになってしまったのではないでしょうか。しかしこれが運動を意識的に行うということであり、固有感覚を鍛えることにつながります。あらゆる動作の構造を意識することでその部位の関節、あるいは筋肉への刺激の感知が鋭くなっていき、自分が今どのように動いているのかわかるようになってきます。

こうして意識的に動けるようになったら今度はその動作を無意識でできるように戻しましょう。主にスポーツ選手が苦労するところですが、フォームの修正などをした時に、ゆっくりだとできるのに、素早く動くと再び崩れたフォームになってしまうということがあります。これは各部位を意識的に動かすことができても、それらを連動させることができていないためです。連動させるためには反復練習が最も効果的です。意識的にできた動作をつなげて何度も繰り返してみましょう。

最後に

固有感覚は主にスポーツにおいて重要視しますが、日常生活の中でもケガや障害予防として効果的です。将来のためにもまずは意識的に動くところから挑戦して固有感覚を鍛えてみましょう。

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