多発性硬化症は20代~30代の女性が発症しやすい疾患です。視力障碍や運動麻痺と言った神経症状が現れ、増悪と寛解を繰り返します。現在の所明確な原因は分かっておらず、難病に指定されている疾患です。多発性硬化症に対しては禁忌となる運動も存在しますが、適切な運動療法をとることで困難だった日常生活が容易にできるようになり、生活の質を高めることができます。
原因
原因は現在はっきりとは分かっていませんが、免疫の異常がその発症に関わっていると考えられています。体の中の神経は通常ミエリン鞘という髄鞘によって包まれていますが、多発性硬化症になると本来自信を守るはずの免疫システムがこのミエリン鞘を破壊し、中の神経がむき出しの状態になります(脱髄)。脱髄が起こると脳からの信号をうまく伝えることができなくなるため、脱髄が起こっている部位に応じて様々な神経症状が引き起こされてしまうのです。
治療
運動機能に障害が出ている場合は運動療法も治療としては有効です。ただし多発性硬化症には症状が強く出る時期と、あまり出ない時期の波が存在します。運動療法を行う場合は比較的症状の軽い時期に行う方が良いでしょう。
多発性硬化症に対する運動療法の目的としては関節の可動域の維持と正しい運動感覚の構築です。関節の可動域は拡大するというよりは維持、つまり動かさなくなって固まってしまうことがないように自動又は徒手での誘導で動かすようにしましょう。神経性の運動機能障害の場合、足底の接地面の感覚や荷重具合の感覚、手の指を動かす感覚などあらゆる感覚が麻痺している場合があります。視覚や触覚、固有感覚を呼び覚ますように様々な外的刺激を使いながら動かすようにしましょう。部位によっては局所的な指圧なども有効です。
最後に
中枢の神経に異常が起きると日常生活で介助が必要になる場合も多く、生活の質を著しく下げる原因となってしまいます。楽しく、活気のある毎日にするためにも、適切な治療を行って根気強く症状を改善していきましょう。