浮腫にはさまざまな種類があり、多様な原因によって発生します。
浮腫とは組織間液やリンパ液が、皮下組織に過剰に溜まる(貯留)状態のことです。
その多くに問題のある器官の名前が付けられていて、代表的なものに、腎性浮腫(腎臓)、心性浮腫(心臓)、肝性浮腫(肝臓)、静脈性浮腫、脂肪浮腫、リンパ浮腫などがあります。
浮腫は、生理学的形質によって「リンパダイナミック」と「リンパスタティック」という代表的な2つに分類できます。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
Lympho-dynamic:リンパダイナミック
リンパダイナミックとは、リンパシステムは機能していてもほかの要因によって浮腫が引き起こされていることを意味します。
この場合、血しょうの水分が組織へろ過され過ぎているのか、または十分な膠質吸収がないかのどちらかの状態になっています。
なお、これはリンパ浮腫ではありません。
これが生じる原因は主に5つあります。
〇BOP〈血液(血しょう)膠質浸透圧〉の低下
腎臓におけるタンパク質の漏出またはナトリウムと水分の排泄障害、肝臓由来の血液中のタンパク質量の変化、低栄養状態、消化器官の疾病(下痢など)、代謝異常、ホルモンアンバランスなどが原因で、過剰なろ過と吸収が不十分になり、血管内にタンパク質が少なくなっている状態です。
〇心臓の病気
心臓の病気による浮腫は、心不全(右心不全)など心臓のポンプ機能の障害がおこることで発生します。
〇機械的原因
きつい洋服、(長時間の)悪い姿勢、筋肉・靭帯・腱などによる循環の圧迫などが原因となり、静脈炎・静脈瘤をはじめとする静脈機能の障害が起こります。
○炎症
炎症が起こるとアレルギー反応などに関わるヒスタミン、生理活性物質の一種であるブラジキニンなどが血管を拡張させ浮腫が起こります。
外科的手術全般、特に人工関節置換術や人工膝関節置換術など下肢、または上肢の術後などに起こりやすくなります。
〇薬剤
エストロゲン、血圧降下薬(カルシウム拮抗薬)、ステロイドなどが直接的な原因となります。

上記5つのタイプに浮腫は、通常皮膚は柔らかく、またはスポンジ状で”くぼみ”ができる圧痕性浮腫(pitting edema)です。
指で圧すと肌の表面にくぼみができ、戻るまでの時間により、fast edemaとslow edemaに分けられます。
Lympho-static:リンパスタティック
このリンパスタティックがリンパ浮腫と呼ばれるものであり、リンパ系が直接の原因となります。
リンパ管の機械的な問題または閉塞のために、リンパ液はスタティック、つまり静的であり停滞している状態です。
タンパク質の吸収はなく、組織間液はたんぱく質が豊富に貯留した状態になっています。
なおリンパ浮腫は、一次性リンパ浮腫(原発性リンパ浮腫)と二次性リンパ浮腫(続発性リンパ浮腫)に分類されます。
〇一次性リンパ浮腫(原発性リンパ浮腫)
一次性リンパ浮腫には、リンパ管や器官のネットワークが弱い、あるいは形成不全など、生まれた時からの先天性と、早発性(35歳以前)、晩発性(35歳以降)があり、発症の原因が明らかでないものです。
〇二次性リンパ浮腫(続発性リンパ浮腫)
二次性リンパ浮腫は発症の原因が明らかなものです。
乳がんや子宮がんなどの治療によるリンパ節郭清、放射線治療、フィラリア症、やけどなど、外傷により起こるものがほとんどです。
リンパ浮腫の皮膚の色は通常淡いのですが、肌色では一概に判断できません。
線維化が進むと皮膚が硬くなるため、指で圧しても肌にはくぼみができにくくなります。
これを非圧痕性浮腫といいます。
最後に
”むくみ”といっても一概に扱うことはできません。
症状からその原因を見極めて適切な対処を考えていきましょう。














